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【真実を探求する考察系SF】星を継ぐもの

ジャンル 

SF(1977年)

あらすじ

月面で死体が発見されるが、その死体は5万年前のものだった!試験技師として調査グループに参加した主人公のハントは、情報をまとめる役割を与えられ、次第にこの謎を解く中心人物となっていく。
調査の結果段々と明らかになっていく新事実に対してハントを始めとした多くの技術者が時には協力、時には意見を対立させながら、謎の解明に向かって歩みを進めていく。

そうした中、木星の衛星ガニメデで木星人の死体と共に巨大な宇宙船が発見され、ハントは調査のために木星行きを決意する。全ての謎が繋がり、最後に明らかになる真実は、地球をも巻き込むアッと驚くものであった。

満足度

9/10点:理屈っぽい人は大好きになると思う。

おすすめポイント

  1. 理系受けすること間違いなし。小気味良い論理展開によるスッキリ感

    本作には宇宙が舞台だが、例えばスターウォーズのような派手なアクションは全くない。そこにあるのは証拠→仮説の繰り返しによる、おじさん同士の会話のみだ。話の作りとしてはミステリーにも近いが、話には起伏が多くて展開が気になって次へ次へと飽きることなく一気に読んでしまう。
    過去に出てきた証拠が現在の証拠と結びついて新たな仮説が生まれたりなど、伏線回収の妙もあり、不思議な魅力がある。
    最後のオチも、こうきたか〜となること請け合いで、読後感もとても良い。

  2. キャラクターの良さ
    主人公のハントはユーモアのある柔軟な人物で、意見が対立する人物であるダンチェッカーは偏屈な学者という趣。どちらも、こんな人達いるわ〜、と思わされるが、意見の対立は起こるものの、どちらも真実に向かって手を取り協力しながら進んでいく姿には感動を覚える。また、登場人物に感情移入しながら読むと、自分も頭が良くなったように感じられて得した気分になる。

何を得たか?

仮説と検証を繰り返して真実を追求する姿勢と、自分の意見が絶対ではない、ということを学んだ。どこぞのビジネススクールで教材として使っても良いのではないか。

それは冗談として、SFという題材ではあったが、この考え方は実生活でも十分使えるものだなと思う。ハントのように、余裕を持ちながら俯瞰して全体を捉え、人生を切り開いていきたいものだ。

ガニメアンシリーズとは?

星を継ぐものは続き物でガニメアンシリーズとも呼ばれていて、「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」と話が繋がっている。

次は「ガニメデの優しい巨人」の感想を書きたいと思う。